髪をしっかり洗っているのに、頭皮が「かゆい」と感じたことはありませんか?つい我慢できずに、ボリボリとかきむしってしまうこともあるかもしれません。
しかし、かゆみを感じる部分を掻き続けると、炎症が広がったりフケが増えたりして、頭皮環境が悪化する恐れがあります。その結果、髪の成長に必要な環境が整わず、髪が生えにくくなってしまう可能性もあるのです。
では、なぜ頭皮にかゆみが生じるのでしょうか?ここでは、かゆみの主な原因と、その対策について詳しくご紹介します。
頭皮がかゆくなる原因

頭皮のかゆみを一度でも感じたことがある方は、少なくないかもしれません。そのかゆみ、もしかすると日々の生活習慣やケア方法が原因となっている可能性があります。
洗えていない
髪の毛の洗い方は、学校で教わる機会がほとんどなく、多くの方が間違った自己流の方法で大人になっているかもしれません。
例えば、次のような洗い方をしている場合は、見直しが必要かもしれません。
- 予洗いの時間が短い
- シャンプーを泡立てずに直接頭皮につけている
- 髪が絡まったまま洗っている
- 熱すぎるお湯で洗っている
頭皮や髪を正しく洗えていないと、汚れや皮脂が蓄積し、毛穴が詰まる原因になります。その結果、フケや炎症、かゆみなどの頭皮トラブルにつながることもあります。
完全に乾かせていない

ドライヤーを使うとき、髪の毛はしっかりと乾かせていますか?
特に後頭部は乾かしにくく、うっかり湿ったままにしてしまうことがよくあります。その結果、後頭部にかゆみを感じる方も少なくありません。
髪の長い方は、乾かすのに時間がかかって大変ですよね。それでも、頭皮をしっかり乾かすことは、かゆみや頭皮トラブルを防ぐためにとても大切です。
乾燥
空気の乾燥、髪の毛の洗いすぎ、熱すぎるお湯の使用などは、頭皮の乾燥を引き起こし、かゆみの原因となることがあります。
頭皮が乾燥すると、皮脂が不足し、頭皮本来のバリア機能が低下してしまいます。皮脂は過剰でなければ、頭皮を守るために必要な存在なのです。
また、アトピー性皮膚炎のある方は、特に乾燥しやすく、それに伴って強いかゆみを感じることもあります。
皮脂の過剰分泌
皮脂は頭皮を健やかに保つために欠かせないものですが、過剰に分泌されると問題が生じることもあります。
皮脂が必要以上に増えると、「マラセチア菌」と呼ばれる常在菌が異常に繁殖し、炎症を引き起こす原因になることがあります。
このマラセチア菌が関係しているのが「脂漏性皮膚炎」です。脂漏性皮膚炎では、皮脂の分泌が活発な部分に湿疹や赤みが現れ、頭皮全体に炎症が広がることもあります。
アレルギーや接触性皮膚炎

新しいシャンプーやトリートメントを使用した際、肌に合わずアレルギー反応が出ることがあります。また、ブリーチやカラー剤が原因で、強いかゆみを感じることも少なくありません。
さらに、金属や特定のアレルゲンが肌に合わない場合、「接触性皮膚炎」を引き起こすことがあります。これにより、かゆみやヒリヒリ感に加え、赤み、ぶつぶつ(丘疹)、水ぶくれ(小水疱)、腫れなどの症状が現れることもあります。
接触性皮膚炎とは…
- 接触性皮膚炎とは、皮膚に刺激物やアレルゲンが触れることで炎症や湿疹が起こる疾患です。
ストレスや自律神経の乱れ

精神的ストレスや生活リズムの乱れが原因で、免疫機能に影響が出たり、皮脂分泌が異常に増えたりすることがあります。
免疫機能が低下 | ・ストレスが長期間続くと免疫力が低下しやすくなる ・免疫力が落ちると、頭皮トラブル(フケ・かゆみ・炎症)が起こりやすくなる |
皮脂分泌の異常 | ・ストレスを受けると、ホルモンバランスが乱れ、皮脂の分泌が過剰になる ・皮脂が増えすぎると、毛穴が詰まり、頭皮環境が悪化し、抜け毛の原因に |
主な対策
頭皮のかゆみの原因は、実は生活習慣にあることが多いです。日常のちょっとした習慣が影響していることもあるので、どんなことに気をつければ良いのかを解説します。
シャンプーを見直す

ビジネスホテルや旅行先などに置いてあるシャンプーは、さまざまな方が使用するため洗浄力が強いシャンプーが多いです。今家で使用しているシャンプーも洗浄力が強いものではないか、確認しましょう。
アミノ酸系やベタイン系などの成分が入っているシャンプーを使用すると乾燥を防げるかもしれません。
また、初めて使用するヘアケアグッズは、肌の一部でパッチテストの実施を行ってから異常がないか確認して使用するといいかもしれません。
洗浄力の強い成分
- 界面活性剤
- シリコン
- タール系着色料
- 防腐剤
洗いすぎを避ける
1日2回以上シャンプーをしている場合は、1日1回または2日に1回にすることをおすすめします。
また、汗をよくかく方で、汗を流したいときは湯シャン(お湯だけで洗う方法)を取り入れると良いでしょう。
髪の毛を完全に乾かす
お風呂から上がった後、すぐに髪の毛を乾かすことはもちろん大切ですが、完全に乾かすことがとても重要です。湿ったままにしておくと、雑菌が繁殖し、頭皮や髪に嫌なニオイがついたり、頭皮トラブルを引き起こす原因になります。
さらに、髪の毛が湿ったままで放置すると、クセがついてうねりが生じることもあります。
生活習慣の改善
脂っこい食事を普段から多く摂取している方は、皮脂分泌が増加する原因となることがあります。バランスの良い食事を心がけることが大切です。
また、慢性的な睡眠不足やストレスの蓄積があると、ホルモンバランスが乱れ、皮脂の過剰分泌を引き起こすことがあります。十分な睡眠が取れない場合でも、目を閉じて情報を遮断するだけで、疲れが少し和らぐことがあります。
皮膚科を受診する
かゆみが長期間続いている場合は、皮膚科を受診することを検討した方が良いでしょう。かゆい部分をかきむしると、その部分の髪の毛が生えにくくなることもあります。
こんな症状がある方は、皮膚科を受診しましょう。
- 髪の毛の成長に異常を感じる
- かゆみが長期間続いている
- フケが大量に出る
- 頭皮に赤みや湿疹が現れている
- 市販薬を使用しても改善しない
まとめ

「頭皮がかゆい」と感じて、かゆい部分をボリボリとかきむしってしまうと、皮膚を傷つけて炎症やフケを引き起こす原因になります。
かゆみの原因としては、以下のような日常生活の習慣が関係していることがほとんどです。
- 頭皮がしっかり洗えていない
- 髪の毛を十分に乾かしていない
- 脂っこい食事をよく摂っている
- 慢性的な睡眠不足やストレスがある
さらに、金属やアレルゲンが肌に合わないことが原因で「接触性皮膚炎」を引き起こしたり、皮脂が過剰に分泌されることでマラセチア菌という常在菌が異常に繁殖し、「脂漏性皮膚炎」を引き起こすこともあります。
かゆみを感じたら、日常生活を見直すことで改善することもありますが、もしフケが大量に出る、かゆみが長期間続く、または市販薬で改善しない場合は、皮膚科を受診することをおすすめします。
かゆみを甘く見て放置すると、気づかぬうちに症状が悪化し、髪の毛が生えにくくなることもあります。毎日意識して、健康的な頭皮環境を保ちましょう。
参考になれば幸いです。